事の発端

「イラストのメイキングはよくあるけど、小説はないからスメラやってよ!」
 というような主旨のことを友人に言われて、確かに小説のメイキングって見たことない! やってみよう! と思ったことから始まりました。
 ちょうど手元に書き始めたばかりの小説があったので、それでメイキングをすることに決定。

ネタの出どころ

 それは9月の中旬、夏休みのことでした。自動車学校から家へ、自転車で帰っている時です。ちなみに実家です。
 その頃は毎日のように、日暮れから夜中にかけて夕立だかスコールだか分からないにわか雨がありました。
 夜8時ごろに自転車をこいでいた私は、今日はまだ雨が降ってないなあ、帰り着くまでに降り出したら嫌だなあ、雨宿りできる場所もないなあ、と取りとめもないことを考えていました。

 ところで私は以前から、「夕立は足音がする」と思っていました。高校の時には文芸部でそんなような詩を書きました。
 中学高校の下校中にはよく、背後からさっと風が吹いたかと思うとざーっと音がし始めて、振り返ると白く煙った雨のカーテンがお化けのように追いかけてくる、という場面があったのです。いつも自転車をガンガン漕いで逃げていましたが、毎回同じ場所で捕まっていました。
 ですがこれが夜となると、迫ってくる夕立は昼間ほどには見えません――というシチュエーションを自然と妄想しました。実際には見えます。花火大会で体験済みです。
 でも妄想なので問題ありません。目に見えないものを音を頼りに探る、とっても自分好みです。こうして夕立の足音をネタにすることが決まりました。

話や設定

 次は設定とストーリーです。
 夜に自転車で帰宅という自分の立場をそのまま使いたかったので、主人公は塾通いの小学生に決めました。
 そして夕立の足音を物語に登場させる流れですが、夕立と足音がぱっとつながる回路が普通だとは思っていません。だから「何かの暗喩なのは分かるけど何のことだろう」と思われるくらいの曖昧な表現で書こうということに。

 ちょっと怖い感じにしたかったので、最初は夕立の多い街の都市伝説ということにしたいと思ってました。でも設定が面倒臭いし、話の雰囲気が変わってしまいそうなので没。
 ただ、未練たらたらだったので今の冒頭になりました。信憑性のない妄想怖い話。
 てなわけで、書き始めます〜。確か、思いついたその日の晩か、翌日の昼間からスタート。

作業環境

 使っているソフトはMicrosoftWord2010です。基本的に、サイトにアップするものは全部これ。友達と見せ合ってしゃべるだけの小ネタは単なるテキストファイルに書いてます。
 ページ設定は、縦書き一段、用紙はA4で横向き、文字数42・行数34です。とあるラノベ文庫の新人賞用の文字数です。サイトに載せる際、文庫本で3ページ分を目安にできるよう、この設定を使っています。
 余白は上下に22o、左右に50oずつで、上下の余白は非表示にしてあります。

書きます

 書きます。今回はタイトルから書いた、はずです。記憶怪しいです。
 私はタイトルがなかなか思いつかず全文書ききってもまだ頭を悩ませるというパターンが多いので、今回はかなり珍しいです。そして最後までタイトル変更がなし。本当に珍しい。

 書き出しはすでに頭の中にあったのですらすら書けました。「私」の登場辺りまでは勢いで書いてます。そして「私」登場までは一人称か三人称か決めかねていました。
 文体ですが、今回は特に何も意識していません。うざったい口調の一人称はもともと好きなので、小学生女子の要素と相まってこの結果に。読んだ本の影響を受けやすいので、もしそれもあったのだとしたら「人類は衰退しました」の影響である可能性が高いです。でも影響受けてるなっていうのは自分で分かるので、今回はそれほど影響ないと思います。
 私自身の持論だか「私」の持論だかよく分からないようにいろんな考え方をぶっこんでいくのが楽しかったです。

 学校を出たあたりで一度詰みました。でもめげずに塾へ向かわせ、舐めた持論を展開してもらい、教室へ入ったところで二度目の詰み。小詰みはもっとありますが、時間生産性が落ちてるだけって感じなのでノーカウントです。
 なんやかんやで10月が来ました。しばらく放置していました。ごめんなさい。
 この辺で友人からメイキングのお誘いを受けます。心機一転、久しぶりにファイルを開きます。
 しかし早速詰みました。とりあえず好きな言葉をぽこぽこと並べて文章をつなぎます。けれど生産効率の悪いこと悪いこと!
 そして、どこまでダラダラとこの子の放課後を書いていていいのだろう、という疑問にぶち当たります。転機でした。もういい、とっとと夕立に遭ってしまえ! ということで塾を出てもらいます。
 夕立が迫ると書きやすくなりました。さすがに日頃から考えていたことですね。いつも頭にある言葉を適当につまみ出して並べている感覚でした。
 手が止まった部分はほとんどないです。『奴ら』の正体をはっきり書きたいけれど一人称じゃ不都合だなあ、と止まったくらいです。ほぼ勢いで終わらせてしまいました……。

見直し

 勢いで終わらせたものをそのままアップすると痛い目を見ます。今回は特に自信がなかったので、風呂に入ってから読み返すことにしました。
 読み返す時は音読です。可能な長さなら音読します。声に出して気持ちのいいリズムで読める文章が良い文章だと信じてやまないからです。半分くらいは、単に音読が好きなだけですが。

 読んでみた結果、前半と後半にかなーり差があることは否めませんでした。でもこれは、夕立が迫ってくるのって足音立てて走ってくるみたいだよね、というただそのネタのためだけの話です。長くしたって意味がないしこれ以上描くテーマもないしで完成ということにしました。
 誤字脱字も見つけなかったので、翌日メイキングページを作ってアップすることにしました。結局あれから数日が経っているので、決意なんて信用できません。
 そういえば最後に、ふとタイトルを見直しました。でも別段面白いタイトルも思いつかなかったのでそのままです。

そして

 完成です! お疲れ様でした! でも今回頑張りが微妙だったのでもっともっと精進ですね!
 ではでは、「足音の街」本文はこちらです。


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